第15回通常総会 久保会長 挨拶
No.712 2026年7月
2026年6月5日(金)、東京マリオットホテルにおいて第15回通常総会を開催しました。以下、久保新会長の就任挨拶をご紹介いたします。
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写真1:久保 徹 会長
このたび、一般社団法人日本冷凍空調工業会の会長に就任いたしました。冷凍空調産業が社会インフラとしての役割を担うとともに、気候変動問題への対応においてもその重要性を増す中、この職責を担うことに大きな責任を感じております。関係各位のご指導とご協力をいただきながら、当工業会の活動を着実に推進してまいる所存です。
まず、昨年度の冷凍空調業界の動向を振り返りますと、世界経済の不確実性が続く中においても、日本国内では設備投資や建設需要に支えられ、冷凍空調機器の需要は総じて底堅く推移いたしました。具体的には、家庭用エアコンは1,002.8万台(対前年比106.5%)、業務用エアコンも85.7万台(同100.8%)と、主要製品において前年度並みまたは前年度を上回る水準を確保し、業界全体として堅調な需要基盤を確保することができました。
そのような中、当工業会では、環境問題への対応を最重要課題と位置付け、低GWP冷媒への転換、フロン排出抑制法への対応、省エネルギー機器の普及促進などを中心に取り組み、政策提言、規格整備、技術評価などにおいて具体的な成果を積み上げてきました。特に、トップランナー制度対応や次世代冷媒の評価、JRA規格・JIS規格の改定、安全基準の整備など、産官学連携のもとで業界としての基盤強化を進めてまいりました。
また、新たな課題である建築分野のライフサイクルカーボン対応に関しては、国土交通省主導の検討会への参画を通じて、機器側からの制度対応に関する検討を進めるなど、業界として先行的な対応を図っております。
さらに、情報発信及び交流の面では、「HVAC&R JAPAN 2026」、「環境と新冷媒 国際シンポジウム2025」のいずれも過去最大の規模での開催となりました。これらの活動を通じて、冷凍空調産業の社会的な関心と期待が一層高まっていると認識しております。
一方で、人材不足問題や市場構造の変化、さらには国際的な規制動向の複雑化など、当業界を取り巻く環境は大きく変化しており、今後これらへの継続的かつ的確な対応が求められております。
こうした状況を踏まえ、本年度の工業会活動においては、五つの項目を軸として取り組んでまいります。
第一に、環境・気候変動への対応のさらなる推進であります。2050カーボンニュートラル達成に向け、冷凍空調分野においては、部門別エネルギー起源CO₂の排出量について、業務分野で51%、家庭分野で66%、さらにHFC等4ガスについても44%削減(いずれも対2013年度比の2030年度目標)という高い目標が求められております。当工業会としては、高効率機器の普及拡大、トップランナー制度の継続的対応、低GWP冷媒および自然冷媒への転換を着実に進めてまいります。
また、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の次世代冷媒開発プロジェクトとの連携や、2028年度導入予定の建築物ライフサイクルカーボン制度への対応として、機器ごとのCO₂排出原単位の整備やEPD(環境製品宣言)等の基盤整備を進めてまいります。
第二に、規格・基準への対応と国際連携の強化であります。IEC・ISO等の国際規格への対応に加え、欧州Fガス規制やREACH、米国AIM法など、海外規制の影響は年々大きくなっています。当工業会としては、JRA規格・JISの制定・改定を進めるとともに、国際標準化活動への積極的な参画を通じて、日本の技術的知見を反映してまいります。
また、機器性能表示の透明性向上や検定制度の適正運用を通じて市場の信頼性を高めるとともに、2027年以降の制度改正への対応も見据えた取り組みを進めてまいります。
第三に、安全性の確保と信頼性の向上であります。低GWP冷媒や可燃性冷媒の普及に伴い、従来以上に安全性確保が重要な課題となっています。当工業会では、JRA規格やガイドラインの整備を通じて安全要件の明確化を進めるとともに、リスクアセスメントに基づく基準整備を推進してまいります。
加えて、電気用品安全法、高圧ガス保安法等の制度動向に対応しながら、事故情報の分析や注意喚起活動を実施し、市場における安全確保の取り組みを着実に進めてまいります。
第四に、新技術への対応と社会実装の推進であります。IoTやAIの活用により、冷凍空調システムの高度化が進んでいます。当工業会としては、常時監視システムの普及やエネルギー管理の高度化を推進し、運用段階での省エネルギーと安全性向上を図ってまいります。
また、次世代性能評価手法の検討やISO規格への提案活動を通じて、実使用に即した評価方法の確立を進めるとともに、産官学連携のもとで技術開発と制度整備を一体的に推進してまいります。
第五に、業界基盤の強化と情報発信の充実であります。当工業会では「中期ビジョン2030」の策定を進めており、本年度はその具体化と周知を図ってまいります。あわせて、「HVAC&R JAPAN 2028」に向けた準備の開始や、「環境と新冷媒 国際シンポジウム2027」の開催に向けた取り組みを進めてまいります。
また、Webサイトやメールマガジン等による情報発信の強化、会員サービスの充実、委員会運営の効率化などを通じて、工業会活動の価値向上に努めてまいります。
冷凍空調産業は、社会インフラを支えるとともに、環境問題の解決に大きく貢献する産業であります。当工業会としては、これまで培ってきた技術とネットワークを活かし、関係各位と連携しながら、諸課題への対応を着実に進めてまいります。
当工業会の目的である産業の健全な発展と国民生活への貢献を軸に、今後とも一層の活動の充実に取り組んでまいる所存です。
甚だ微力ではありますが、会長としての職務を誠実に務めてまいります。
今後とも、皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
以上
