2025年度 省エネ大賞
経済産業大臣賞
三菱重工サーマルシステムズ株式会社

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No.712 2026年7月

【製品・ビジネスモデル部門】

低GWP冷媒採用の大容量ターボ冷凍機「JHT-Y/JHT-I シリーズ」

写真1:省エネ大賞授賞式の様子

1.はじめに

ターボ冷凍機は地域熱供給や大規模建物に加え、半導体産業やデータセンターの冷却プロセスなどにも利用される冷熱源装置である。日本国内においてはフロン排出抑制法により、GWPが高い冷媒を用いた冷凍機の出荷が制限されているため、当社はGWP1未満であるHFO-1234yfを採用した「JHT-Y/JHT-YIシリーズ」を開発した。

GWPGlobal Warming Potential(地球温暖化係数)の略。CO2を基準に、どれだけ地球を温暖化させる能力を持つかを示す数値。

図1:機器外観

2.製品の技術的な特徴

本製品は冷媒としてHFO-1234yfを採用した世界初のターボ冷凍機である。HFO-1234yfには以下のような特徴があり、優れた特性を示すことから本機に採用した。

 

環境性:ODP(オゾン層破壊効果)が0GWP1未満であり、フロン排出抑制法の規制対象外である。

・物性:従来機のHFC-134aと飽和圧力が極めて近く、設計圧力を従来機同等にできる。

・入手性:カーエアコン等に採用されている冷媒であり、広く流通している。

・安全性:ASHRAEの分類でA2L(低毒性。微燃性)を示す。日本国内では高圧ガス保安法で特定不活性ガスに分類され、対策を講じることで不活性ガスと同等として利用が可能である。

一方、HFO-1234yfの課題としては理論COPHFC-134a対比で4%低く、冷凍能力あたりの体積風量が6%増えることが挙げられる。本機は新規開発した圧縮機を搭載しており、小型化(=大風量化)、高性能化を進めることで従来機と同等の冷凍機性能を維持している。

JHT-Yシリーズで採用した圧縮機は翼形状等を最適設計しており、仕様に応じて最適な効率となる圧縮機を選定することが可能となっている。熱交換器も圧縮機に合わせて設計を見直すことで、使用条件に応じた最適な冷凍機を提案可能となった。また、圧縮機の小型化と熱交換器の最適選定によって冷凍機ユニットとして高さを最大約4%、質量を最大約11%削減した。

表1:JHT-Yシリーズと従来機の仕様比較

3.省エネ性能と環境保全性、経済性

JHT-Yシリーズの定格COPは最大6.4IPLV8.8、部分負荷最高COP24.9であり、規制対象となるHFC冷媒採用機と同等の性能を発揮する高性能なターボ冷凍機となっている。

最大冷房負荷が500USRtの業務施設を想定した場合(表2)、リプレース対象として約20年前に発売された当社ターボ冷凍機AARTシリーズと比較すると、消費電力とCO2の排出量がともに年間で約20%削減される。また、運用条件を20年と想定した場合、直接排出CO2等価量(使用時の漏れや廃棄時の大気への放出量)と間接排出CO2等価量(運転電力消費による化石燃料使用からのCO2発生量)を比較すると、直接排出CO2等価量は99.9%削減、間接排出CO2等価量は20%削減され、合計排出CO2等価量としては約55%の削減となる。

表2:省エネシミュレーション計算条件

図2:省エネルギー効果

4.おわりに

当社は国内メーカーとして初めて低GWP冷媒を採用したターボ冷凍機を開発するなど、以前から地球環境保全に貢献してきており、今回紹介したターボ冷凍機JHT-Y/JHT-YIシリーズによって、性能・サイズ・運転範囲を維持したまま低GWP化を達成できた。今後も地球環境に優しい製品の開発と性能向上に取り組んでいく。