第14回通常総会 澤井会長 挨拶
No.705 2025年6月
2025年6月6日(金)、東京マリオットホテルにおいて第14回通常総会を開催しました。以下、澤井新会長の総会開会の挨拶をご紹介いたします。
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写真1:澤井克行 会長
昨年の総会で会長に就任いたしましてから、早くも一年が経過いたしました。つい先週、会長として日中韓会合へ出席して参りました。日本、中国、韓国それぞれの冷凍空調工業会の会長が集まる会議でございます。場所は中国の西安でございました。今回のホストは中国側でございました。
国内だけではなくて、海外で生活していると、昔から各国のメーカーさんがグローバルで展開されております。日本のメンバーのメーカーも海外で展開されるということで、3つの国の工業会が、やっぱりグローバルに対して物申してというところでは、完全なる一致っていうのは難しいかもしれませんけれども、さまざまなところで協力できることがあるのではないか、というような話をしてまいりました。
さて、この一年間を振り返りますと、皆さんよくご案内の通りですね、アメリカにおきましては、第二次トランプ政権が発足し、環境・エネルギー政策や関税政策など混沌とした状態が続いております。また、欧州におきましては、フォン・デア・ライエン欧州委員長によるEU体制が2期目に入っております。
グリーンディール政策を堅持しつつ、脱炭素化と産業力強化を同時に達成する「クリーン産業ディール」が進められています。日本経済は比較的落ち着いた一年であったのではないかと思います。
近年は、お米問題がありました。小泉大臣が出て、まあ、世間一般では結構お米の値段が下がり、いい方向に向いているという声が多くございますけれども、まあこれから先さまざまなことが起きるのかなと思いますけど、また参院選を控えておりますし、まだ、なかなか先が読めない状況かなと思います。
一方、当冷凍空調業界でも2024年度の国内向け自主統計ベース出荷状況におきましては、家庭用エアコンが前年比106.5%の941万台、業務用エアコンが前年比105.5%の85万台など、おおむね堅調な結果でした。
今年は、当業界最大の課題である気候変動・環境問題において、パリ協定における5 年ごとのGHG排出削減目標の更新の年に当たります。COP30に向けて各国とも目標の提出が要請されており、冷凍空調機器の省エネ化や暖房給湯機器のヒートポンプ化によるGHG排出削減への期待が一層高まることが予想されております。
国内ではNDC 提出の前提となる2035 年を含む2040 年までの温室効果ガス削減目標策定のため「エネルギー基本計画」「地球温暖化対策計画」が見直されております。併せてエネルギー安定供給確保、経済成長、脱炭素を同時実現するという「GX2040 ビジョン」が策定されました。当業界においては、エネルギー効率の向上、フロン対策の高度化に加えまして、資源循環、排出量取引制度であるGX-ETSの義務化に向けたGX法改正、といった新たな動きもあり、これらの対応が求められております。
また、当業界の主要なお客様にあたります建築分野におきましても、2023 年のG7 気候・エネルギー・環境大臣会合とG7 都市大臣会合において、ネットゼロの建築物を推進することが合意されて以降、脱炭素化の取り組みが加速しています。
2024 年11 月、内閣に「建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議」が設置されました。建築物のライフサイクル全体において発生するCO₂の削減に関しまして、関係省庁が緊密な連携の下、必要な施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とし、2028年に予定されている法制化に向けて、議論が進められています。
先行する欧州におきましては、2024年に成立した建築物のエネルギー性能指令において、EU全域での建築物のカーボンフットプリント算定等の義務化が決定しており、建築側からのホールライフカーボンのGHG排出量の算定・開示、グリーン材料・リサイクル材料の活用等によるエンボディッドカーボンの削減の要請が、空調機器を含む設備に対しても一段と高まっております。
こうした目まぐるしい社会情勢の変化の中、当工業会は、足元の課題であるキガリ改正への対応と「2050 年カーボンニュートラル」実現に貢献する製品や技術の開発・普及に向けて当業界が果たす役割と期待がいよいよ大きくなってくることを再認識しまして、来年2026年1 月に「HVAC&R JAPAN 2026」を開催いたします。
世界トップ水準の省エネ技術やヒートポンプ技術の適用分野拡大、新冷媒に加えて冷媒漏洩対策や再生冷媒の利活用など最先端の冷媒関連技術といった、多様な課題の解決に貢献する最先端の機器、システム、サービスを展示すると共に、出展企業・団体と来場者様とのビジネスマッチングの機会を創出いたします。
最後になりますが、気候変動・地球環境問題への貢献と、日本の産業競争力の維持向上への一助となるべく、また当工業会と会員企業の皆様のさらなる発展と地位向上をめざして、微力ではございますが、会長としての職務を全うすべく全力を傾注していく所存でございます。
皆様方からの引き続きのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、開会のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。
以上
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