FOOMA JAPAN 2023 第46回 世界最大級の食品製造総合展 参加報告(4)
No.693 2023年9月
6月6日~9日の会期で東京ビッグサイトで開催されたFOOMA JAPAN2023に、広報委員会委員、事務局の数名で見学、視察を行いました。
当会会員会社、合計10社のブースを訪問し取材しましたので4回に分けてご報告いたします。こちら前回から引き続き、第4部、三浦工業、タカギ冷機、日本熱源システムのご紹介を致します。
FOOMA JAPAN 2023報告は4部に分かれております。
第1部:フクシマガリレイ、三菱電機
第2部:三菱重工冷熱、ホシザキ、SARAYA
第3部:前川製作所 ダイキン工業
1.トータルソリューションで省エネを考える 三浦工業
今回訪問させていただいた三浦工業は、ボイラをメインとした会社ですが、各種ユーティリティ設備をはじめ、生産設備、輸送ラインなど、工場全体のエネルギー管理までトータルで見直すことで、省エネを実現しています。
またカーボンニュートラルにむけた動きに積極的です。燃料電池をはじめ、水素発生装置など、次世代のエネルギー活用を見据え、事業展開しています。
熱回収式電動エアコンプレッサ「VA-210SF」
こちらは、エアコンプレッサの廃熱の有効利用を実現し、熱回収によってお湯を作ることでCO2削減に貢献しています。(写真1)
写真1:熱回収電動エアコンプレッサ
グリーン成長戦略 熱ソムリエ
三浦工業では「熱ソムリエ」と共にカーボンニュートラルを目指します。
ステージ1では、「省エネの徹底」をテーマとして、廃熱回収の徹底や、DXによる見える化をすすめ、ステージ2では、「新規開発」をテーマとして、水素やアンモニア等の新燃料の採用、またトータルソリューションを念頭に環境負荷の低減を目標としています。(写真2)
写真2:カーボンニュートラルにむけて(パネル)
2.食品工場の課題解決に貢献 タカギ冷機
今回訪問させていただきました、タカギ冷機のブースには、主に、食品工場に納品されている実機の展示がございましたのでご紹介いたします。
循環式チラーユニット REI(レイ)
地球温暖化係数GWPが低い冷媒の R448Aを採用した循環式チラーユニットです。
技術的に難しいとされてきた5℃未満の冷水の供給が可能となっています。
循環式チラーユニットREIは、海水を限りなく0℃に近づけるため、魚を高鮮度に保つことができます。(写真3)
写真3:循環式チラーユニット(REI)
防食仕様ユニットクーラー (カチオン電着塗装 ユニットクーラー)
カチオン電着塗装は、電気を使って塗膜を形成するため、複雑な形状であっても、比較的均一に厚い塗膜を形成することができ、耐食性が高いことがポイントです。よってメッキに比べ腐食しにくく、タカギ冷機では、食品工場への導入を提案しています。(写真4,5)
食品衛生の観点から次亜塩素酸ナトリウムを使用するケースも食品工場では多いと考えられますが、腐食防止の解決策となります。
写真4:カチオン電着塗装 ユニットクーラー
写真5:カチオン電着塗装(パネル)
3."脱フロン"の象徴となるか CO2単一冷媒冷凍機「スーパーグリーン」
日本熱源システム株式会社
日本熱源システム株式会社の、本展における一番の見どころは、食品冷凍用、冷凍倉庫用の実機が展示されていた、CO2単一冷媒の「スーパーグリーン」です。(写真6)
写真6:CO2単一冷媒の「スーパーグリーン」
CO2冷凍機「スーパーグリーン」の特長はいくつもありますが、なかでも"環境性" "安全性" "経済性"に特筆すべきものがあります。
まず一つ目の"環境性"においては、自然冷媒を使用することでオゾン層破壊係数がゼロ、地球温暖化係数が1と、地球温暖化に悪影響がありません。
二つ目の"安全性"においては、冷媒に二酸化炭素を使用しているため、無色、無臭、食品的に無害、不燃性、無毒、化学的に不活性で高い安全性を実現しています。
三つ目の"経済性"においては、水冷式から空冷式になったことにより、特に外気が冷える季節に大きな省エネ効果を発揮、現在、代替フロンとして使用されているR22に比べ、年間を通じて20-30%の省エネ効果を実現することが実証されています。また、空冷式のスーパーグリーンは、冷却水がゼロになることにより、上下水道の費用を大幅に削減する効果も実証済みです。
同社の「スーパーグリーン」は、欧州の厳しいフロンガス規制のなか、2010年に欧州で初めて開発されたCO2冷凍機を、同社が1999年から技術提携してきた現地企業の協力のもと、日本で初めて独自に開発、設計した冷凍機です。2012年、日本の気候風土に合うように再設計を始め、着手から5年の歳月をかけ、2017年に初号機が誕生しました。
2017年に1台出荷からスタートした「スーパーグリーン」は、2023年4月までに約460台を出荷、堅調に売り上げを伸ばしており、現在では、冷凍倉庫用4機種、冷蔵倉庫用4機種、凍結用7機種、ブラインチラー、冷水チラー等、ラインナップも多様に展開されており、他にもマーガリン、アイスクリーム製造用、ビール工場のCO2回収用などさまざまな形で使われています。
本展で大々的に展示、紹介された「スーパーグリーン」。来るべき2050年カーボンニュートラルに向けて世界が"脱フロン"を目指すなかで、日本国内において一社でも多くの企業にこのCO2単一冷媒冷凍機を使ってもらうことで、"脱フロン"の意味、その重要性が広く認知されるはずです。「スーパーグリーン」はその象徴となる可能性を秘めた期待の製品と言えそうです。
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以上