2022年度 省エネ大賞
省エネルギーセンター会長賞
ダイキン工業株式会社
No.690 2023年5月
製品・ビジネスモデル部門
換気連動による大幅な省エネを実現したビル用マルチエアコン
澤井克行(右、常務執行役員)
1.背景・製品概要
近年コロナ禍により、換気の需要が高まり、換気量が増加することによる、空調負荷が増大し電力消費量が増加(図1)しております。
カーボンニュートラル実現のためには、空調機単体のAPFやCOP向上は必須であると考えておりますが、現状は新モデルであっても微増に留まっております。
そこで、換気と空調を連動させ、システムとして最適に運転することで、機器単独では実現できない快適性と省エネ性を両立させたビル用マルチエアコンを開発しました。
図1:コロナ前後における消費電力量変化@当社事務所
2.主な技術特徴
①空調機と換気機器の連動による省エネ性向上
冷房シーズンに換気しながら空調をする際は、一般的には空調負荷が増加するため省エネ運転が難しいと考えていた。
しかし、市場のビックデータから改めて解析すると、換気負荷があっても省エネ運転を実施できる余地があることがわかった。
そこで、当社保有の全自動省エネ冷媒制御(VRTsmart制御)を進化させ、空調機と換気機器の連動によるシステムでの省エネを実現した。
②室内環境の快適性と省エネ性の両立
室内環境を快適にするためには、湿度を制御することが重要である。
そこで室温センサを持つ空調機と湿度センサを持つ換気機器と連動させて、空調システムを最適に制御することで快適性と省エネ性を両立する。
③外気冷房の積極活用
低外気においても居室内はPCや照明などの内部発熱があり、また近年ビルの断熱性、気密性が向上しているため空調機は冷房運転を実施している場合が多い。
そこで空調機と換気機器を連動させて、換気のみで十分冷房が可能と判断した場合には空調機の運転を停止し省エネを図る。
上記連動機能搭載により、年間消費電力を当社従来機比最大約10%の改善を実現しました。
3.おわりに
今後の環境負荷低減の取り組みとして、今回のビルのケースだけでなく他の用途にも拡大し、さらには省エネ技術をグローバルにも展開し、カーボンニュートラル実現に貢献してまいります。
以上