AHRIのカーボン・ニュートラルへの取組 ~海外短信クローズアップ~
No.686 2022年9月
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米国冷凍空調工業会(AHRI)スティーブ・ユーレクCEO
“AHRIのカーボン・ニュートラルへの取組”
2022年5月27日、JARNは本社に米国冷凍空調工業会(AHRI)のスティーブ・ユーレクCEOの訪問を受け、ユーレクCEOからAHRIの脱炭素化への取り組みを伺った。
AHRIのスティーブ・ユーレクCEO
JARN:最初に空調機に微燃性(A2L)冷媒を使用することについて伺いたい。米国の空調機メーカーが空調機に採用している低GWP冷媒は、今後どのように発展していくのか。
ユーレクCEO:米国では米国革新製造法(AIM法)により冷媒の低GWPへの移行は順調に進んでいる。AIM法はモントリオール議定書キガリ改正と整合している。我々は過去10年間、次世代の冷凍空調機器に使用する適切な低GWP代替冷媒を特定するために、研究を続けてきた。米国ではセントラル空調とヒートポンプで微燃性冷媒の使用を許可するためにビル規則が見直されなければならない。各州でこのプロセスが急いで進められている。我々は、2024年に次の大きな緩和が行われた時、微燃性冷媒を使用した新しい機器の設置を開始できることを期待している。
JARN:冷媒を工場でチャージしたウインドエアコン、ルーフトップ、及びパッケージエアコン以外のシステムにおいても現在微燃性冷媒の使用が可能となってきている。これにより米国の製造業者と据付業者の懸念は払拭されたとみているか。
ユーレクCEO:米国の製造業者が新冷媒について何か懸念を抱いているとは考えていない。彼らはULやインターテックなど米国内で認知されている試験所によって認証されている機器を取り扱っている。個々の製造業者(OEMs)も販売店や工事店に対して、新冷媒を取り扱うための適切な教育訓練をしている。またAHRIも新しい機器を安全で適切に据えつけることができるように米国国内及び海外で販売店や工事店の協会と活動をしている。
JARN:米国国内で出荷される微燃性及び燃焼性冷媒の取り扱いを設備業者や据付業者に対してどのように訓練しているのか。
ユーレクCEO:北米技術優秀(NATE)トレーニング・アカデミー、米国ESCO協会、配管・冷暖房業者協会(PHCC)、アメリカ空調設備協会(ACCA)、製造業者他は、微燃性及び燃焼性冷媒の取り扱いについて、情報提供を始めている。すべての種類の代替製品に使用される冷媒についてのベスト・プラクティスを設備業者や技術者に思い出させることの重要性に教育訓練機関の多くは気づいている。
AHRIは、適切な工具、安全基準やビル規則についての基本的な情報、及び冷媒規制に関する情報を含め、こうした情報についてのオンラインセミナーを実施してきている。
JARN:米国の経済情勢が空調産業に与える影響について伺いたい。金利が上昇し、物流が混乱している状況に直面して、空調産業の課題は何か。またこれらの課題を解決するためにはどのような対策が必要なのか。
ユーレクCEO:米国での我々の産業の出荷データは、サプライ・チェーンの問題にもかかわらず、好調を引き続き保っている。金利に関しては問題とは見ていないが、関税、インフレ、エネルギー価格、及び先に述べたサプライ・チェーンは問題として残っておりしばらく続きそうだ。我々の会員企業は、インフレ、労働力、及びサプライ・チェーンの問題について、対処が必要だと考えたものについては、個々に対策を取っている。AHRIのスタッフは、これらの問題が我々の産業に及ぼす影響を改善するために、引き続き政府の担当部署と協議している。
JARN:脱炭素化が空調産業に与える影響について伺いたい。空調産業にどのような変化が生じるのか。
ユーレクCEO:脱炭素化は米国でも、また世界でも我々の産業が直面している最も重要な課題の一つだ。主要なものは生命と健康を維持する冷暖房技術を誰でもが手に入れられることを保証することだ。我々の役員会は最近脱炭素化の課題についての声明を承認した。我々の産業は排出削減を支援することを言明している。また州や地方の排出削減の目標を達成するための援助を行う。また我々の産業が製造する製品を提供することにより、生命と健康を維持することのできる空気と水を、持続可能で安全で信頼性があり、また誰でもが手に入れられるようにする。
排出削減を最も活発に行っている州や地方の多くは、その手段としてヒートポンプを促進している。バイデン大統領も最近ヒートポンプの需要が増加することを予測して、供給量を確保するために国防生産法の発動も考えている。大統領の考えを実行する措置が検討されている。
〔出典:JARN July 25, 2022〕
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