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No.680 2021年11月
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欧州ヒートポンプの製品認証:キーマーク(KEYMARK)
■ヒートポンプキーマーク(KEYMARK)
ヒートポンプキーマークは、任意の独立した欧州の製品認証マークであり、認証スキームはISOタイプ5である。
欧州のエコデザイン指令EU規則813/2013(スペースヒーターとコンビネーションヒーター)及び814/2014(給湯器)によって規定されるすべてのヒートポンプ、ヒートポンプの組み合わせ、及び給湯器を対象としている。
独立した第三者機関による製品検査を認証根拠としており、ヒートポンプキーマーク・スキーム規則によって定められた製品要求の遵守とエコデザイン指令のロット1(スペースヒーターとコンビネーションヒーター)及びロット2(給湯器)で規定される効率要求の遵守を表明している。
ヒートポンプキーマーク
ヒートポンプキーマーク・スキームは欧州標準化委員会(CEN)によって運営されている。スキームのすべての要求を満たした製品に対して独立した認証機関が認証する。
欧州のすべての認証機関はスキームに参加することができる。製品認証を取得しようとする製造業者は権限を有する認証機関のいずれかに申請する。
CENヒートポンプキーマークは欧州市場におけるヒートポンプの品質をサポートする全体的な認証である。2015年にヒートポンプ産業界によって開発され、CENによって運営されている。スキームは欧州のすべての認証機関に開示されている。
■主要な特長
-すべての関連する団体に対して開かれた単一認証
-エコデザイン指令EU規則206/2012、813/2013、814/2013による計測ポイント
について第三者機関が性能検査
-工場生産管理(FPC)と品質管理のチェック
-市場で信頼を高めるための透明性と強靭性
-参加しているすべての認証機関による相互受け入れ
■これまでの歩み
2021年、ヒートポンプキーマークは創立5周年を迎えた。数年にわたって、スキームは成長、進化して、ヒートポンプ産業を発展させ、めざましい成果を上げた。5年の内に諸数値は相当な伸びを示した。認証機関は4社から10社となり、認定された試験センターは5社から23社となった。2020年までに45ブランド以上、3,650機種に対して約877件のキーマークが付与された。
2016年から2020年にかけてのヒートポンプキーマークの伸び
5年間で成し遂げた成功であり、ヒートポンプキーマークは改良を続けている。ヒートポンプキーマークのマネージャーであるフランシスカ・コラッア氏は「スキームの普及に成功したのは、認定された認証機関、計測試験所、および欧州の主要なヒートポンプ製造企業からの技術専門家とのユニークな協業の結果だ。強固な組織構造もスキームの品質と信頼性の獲得に寄与した」と述べている。
■今後の目標
ヒートポンプキーマークの目標は、強固に確立された欧州の認証制度を構築することにある。主なゴールの一つは欧州の各国すべてで認証されることである。ヒートポンプキーマークが2016年、一つの欧州市場で一つの製品認証となるために創設された時、十分に理解されていたのはフランス1か国のみであった。数年を経て状況は大きく改善し、現在では製品認証はEU加盟各国の大多数において、エネルギー関連製品(ErP)要求の適合表明として用いられている。今後ヒートポンプキーマークは新たに国の助成制度に組み入れられることを計画しており、東欧諸国での普及に焦点を当てている。
欧州ヒートポンプ協会(EHPA)の事務局長であるトーマス・ノワーク氏は「ヒートポンプキーマークは市場で品質の良さを示すのに使われる認証としての成功事例である。CENヒートポンプキーマークの製品データベースに改良が加えられることによって、効率と品質がさらに向上しうる。欧州のほとんどすべてのヒートポンプ製造業者は現在CENヒートポンプキーマークを使用している。使用していないメーカーについても参加することを勧める。欧州市場でヒートポンプの品質を向上するには、すべての試験要求に対してひとつの認証を与えることが最も効果的である」と述べている。
〔出典:JARN August 25, 2021〕
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