産構審 フロン類等対策ワーキンググループ開催報告
No.676 2021年5月
2021年3月3日、産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会 フロン類等対策ワーキンググループ(座長:大学改革支援・学位授与機構 飛原特任教授、以下「産構審フロンWG」と呼称)第16回会議が、また同じく4月26日、産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会フロン類等対策WG 中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会 第10回合同会議(共同座長:大学改革支援・学位授与機構 飛原特任教授および高知工科大学 中根名誉教授、以下「合同会議」と呼称)がwebで開催されたので報告する。なお一般傍聴は、委員とは別のYouTubeで配信されるという傍聴形式をとった。
1. 産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会 フロン類等対策ワーキンググループ- (席上資料は、こちらの経済産業省のHPにて公開されている)
今回の主な審議ポイントは以下のとおりである。
(1)「フロン類使用合理化計画」の取組状況等について
(2)プレチャージ輸入品に関する調査結果について
(3)2019 年における産業界の自主行動計画の取組状況について
(4)オゾン層保護法に基づく 2020 年の割当て運用結果等について
(5)目標年となる指定製品の達成状況について
(6)新たな指定製品の目標値及び目標年度の設定等について
(1)~(3)項は2019年の状況報告であったので、HPの資料を参照いただきたい。(4)項では2020年の割り当て運用結果についての報告があったが、その中で、フロン類使用見通しが、2025年については下方修正という見直しが、2030年については、新たな設定値が示された。(下図参照)
具体的には、
2025年度の使用見通しが、3,650万t-CO2から2,840万t-CO2へと削減され、
2030年度の使用見通しは、新たに1,450万t-CO2に設定された。
現時点で、2020年度での使用見通しが、4,340t-CO2に対して、見込み値ではあるが、4,908t-CO2と約13%上回っていることを考えると、これから先はかなりのハイスピードで使用量の削減を余儀なくされることになり、業界としての対応も非常に厳しいものとなることが想定される。
また、当工業会において重要な内容である指定製品については、特に(6)項で、新たな指定製品の目標値、目標年度が設定された。冷凍空調分野に関しての具体的な新指定製品としては、以下の通り。
1. ビル用マルチエアコンディショナー(但し新設用等に限定):GWP目標値750、目標年度2025年度。
2. 自動車用エアコンディショナー(乗用に搭載されるもの以外):GWP目標値150、目標年度遅くとも2029年度。
3. 業務用一体型冷凍冷蔵機器:GWP目標値150~300、目標年度遅くとも2029年度。
※2、3項はいずれも、指定製品として確定したものではなく、今後これを目標に検討を継続することとなった。
現在、ビル用マルチエアコンディショナーについては、建築関連も含めた関係者ステークホルダー会議を経産省が主導しており、その中で、今後の冷媒転換がスムーズに進むような課題への対応策を検討中である。
2. 産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会フロン類等対策WG 中央環境審議会地球環境部会フロン類等対策小委員会 第10回合同会議- (席上資料は、こちらの経済産業省のHPにて公開されている)
今回は、約2年ぶり(前回開催は2019年6月)に、経済産業省産構審フロンWGと環境省中環審フロン小委員会の合同会議がwebで開催された。前述の産構審フロンWGと同様、傍聴者はYouTubeでの対応となった。
本会議での主な議題は、2050年対応のカーボンニュートラル(以降2050CNと呼称)に関する内容であった。
特に、本合同会議の直前に開催された気候変動サミットにおいて、菅総理が日本の新たな目標として、2050年カーボンニュートラルを目標とすることと合わせて、2030年に温室効果ガスの削減率を従来目標に対して大幅に上げたこと(2013年比)等も合わせて、大変ホットな議論の場となった。
その中で、HFC排出量が、全体排出量が削減傾向にある中、唯一増加傾向にあるため、各委員からは問題の重要性が指摘された。
※本図は、合同会議の中で使用された資料であるが、図中の「26%減」は、前週の気候変動サミットの対応で「46%減」に修正されている。
また合同会議の結論として、検討すべき課題の方向性として、概略すると以下が確認された。
キガリ改正によるHFC冷媒の段階的削減を着実に履行する。
「上流」として、自然冷媒、グリーン冷媒への転換の普及拡大を目指す。
「中流」として、稼働時、冷媒漏洩量のゼロ化を図る。
「下流」として、廃棄時の回収率の100%化を図る。
その他として、国際的な協力支援を行う。
というもので、いずれも冷凍空調分野にとっては野心的な目標と言わざるを得ないが、実現のための具体的な課題設定および対応が今後の活動に大きな影響を及ぼすと思われる。
■前回の産構審フロンWGの記事はこちら
以上
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