海外短信
No.662 2019年3月
パナソニック 中国蘇州に業務用空調機器の販売会社を設立2018年9月より稼働
パナソニックは2018年6月6日、中国市場における業務用空調事業を強化する目的で、「パナソニックAP空調設備中国有限会社(略称:PAPAECN)」を設立した。業務用空調機器専門の販売会社で2018年9月より販売を開始する。
これまでパナソニックは、「パナソニックAPエアコン広州有限会社(PAPAGZ)」と「パナソニックAP空調冷機大連有限会社(PAPARDL)」の2社がそれぞれで生産と販売を行なってきた。新会社PAPAECNはこれら2社の販売部門を統合する。本社は、中国におけるパナソニックグループの開発拠点「パナソニックR&Dセンター蘇州有限会社(PRDCS)」がある江蘇州蘇州市に設置する。隣接するPRDCSを業務用空調機器の開発拠点として活用する。商品開発力を強化するとともに、開発部門と販売部門が一体となって、これまでよりも早く顧客ニーズに合った商品を提供していく。
董事長にはアプライアンス社エアコンカンパニーの社長である高木俊幸氏が就任する。
写真1:新販売会社の董事長に就任する高木俊幸氏
〔JARN, October 25, 2018〕
ダイキン オーストリアの冷凍・冷蔵ショーケース製造会社AHT社を買収
ワンストップで空調と冷凍のトータルコーディネートが可能に
ダイキンは欧州における業務用冷凍機器市場のリーディングカンパニーであるオーストリアのAHTグループを買収する。買収価格は881百万ユーロ(約1,145億円)。子会社のダイキンヨーロッパ社(本社:ベルギー)を通じて、AHT社への出資者であるブリッジポイント社から全株式を取得する。2019年1月に買収を完了する予定。
AHT社は食品小売店向けの冷蔵冷凍ショーケースの開発、製造および販売を行なっている。プラグインタイプのショーケース分野ではナンバーワンの地位を築いている。
今回の買収によりダイキンは冷凍空調機器の幅広い商品、サービスおよびソリューションにAHTのショーケースを加えることになる。これによってダイキン工業は空調冷凍製品全てを総合的に提供できるようになる。
写真2:買収の詳細を説明するダイキンの十河正則社長
〔JARN, December 25, 2018〕
ジョンソンコントロールズ日立空調 ベトナムに販売会社を設立
ジョンソンコントロールズ日立空調は2018年10月1日、ベトナムに新たな販売会社ジョンソンコントロールズ日立空調ベトナムを設立した。タンユイ・エンジニアリング・アジアとの合弁会社で、ホーチミン市に本社を置き、住宅用及び業務用空調機から大型チラーまで幅広い空調機器を販売する。
ベトナムは世界で最も活況を呈している市場であり、空調の需要が大きく伸びている。ジョンソンコントロールズ日立空調の東南アジアにおける成長戦略として、東南アジアの国々での販売ネットワークの強化がある。ベトナム市場の伸びが特に顕著であるため重要な拠点としてベトナムに販売会社を設立することになった。
新会社はベトナム現地で80名程度の従業員を採用し、64の行政区画をカバーするサービスネットワークを構築する。また技術スタッフを訓練するための商品研修センターも設置される。今後5年以内にベトナム市場で2桁のマーケットシェアの獲得を目標としている。
〔JARN, October 25, 2018〕
富士通ゼネラル イタリアでの事業拡大に向けて販売代理店を子会社化
富士通ゼネラルはF.G.ヨーロッパイタリア社の発行済み株式の51%を1,000万ユーロ(約13.5億円)で取得し、2019年1月に子会社化する。
イタリアのエアコン市場は100万台を超えており、欧州ではロシアに次いで2番目に大きなマーケットとなっている。富士通ゼネラルは、F.G.ヨーロッパイタリア社のリーダーシップによりイタリア市場でのマーケッティングと販売活動を強化し、特に業務用エアコン分野での欧州市場の地位を強固なものとする。
F.G.ヨーロッパは富士通ゼネラル製品の代理店であり、本社をギリシャに置いている。ギリシャ、イタリア、トルコ、およびバルカン半島などで空調機の販売とアフターサービスを行なっている。
〔JARN, November 25, 2018〕
欧州の冷凍空調産業団体 輸出機にチャージされた冷媒
F-ガス規制の割当量から除外を要求
欧州の冷凍空調産業団体が、輸出される空調機にプレチャージされている冷媒はF-ガス規制の割当量から除外するよう欧州委員会(EC)に求めている。現行の規定では欧州の製造業者に不公平と主張している。
欧州冷凍空調協議会(AREA)、英国環境貿易協会連合(FETA)、欧州冷凍部品製造者協会(ASERCOM)などの産業グループは書簡で、輸出機の冷媒も割当量に含めるという欧州委員会の決定は欧州を拠点とする機器製造業者の競争力を過度に弱めていると警告している。
欧州エネルギー環境パートナーシップ(EPEE)の調査では、輸出機にプレチャージされた冷媒量は2018年の割当量のほぼ1%と推定している。従って、業界団体は除外しても段階的削減量に大きな差異は生じず、これにより製造業者は割り当て量を負担する必要がなくなると主張している。「実際、欧州の製造業者は新冷媒や部品の変更に取り組まなければならないのに対して、欧州以外の競合他社はそれをしないで済んでいる」と訴えている。
〔RAC August 2018〕
米ニューヨーク州 HFCの段階的削減を公表
米ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、ニューヨーク州の環境保護部(DEC)に対してHFCの使用を段階的に削減する規制を作成するように指示したと発表した。規制はトランプ政権になって米環境保護庁(EPA)が放棄している重要新規代替物質政策プログラム(SNAP)の2015年と2016年の変更を内容とする。
「トランプ政権は気候変動を否定し地球を保護しようする努力を後戻りさせようとしているが、ニューヨーク州は気候変動のリーダーシップという重責を担い前進する」とクオモ知事は述べている。段階的削減は2020年から2024年に開始され、2030年までにHFCの排出を20%以上削減する。環境保護部は2019年に規制の最終案をまとめることにしており、正式な規制案に先立って提案を行うことにしている。
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News October 8, 2018〕
米国最高裁 EPAによるHFCの禁止措置を無効とした連邦控訴裁判所の決定の
見直しを拒否
米国最高裁は、環境保護庁(EPA)によるHFCの禁止措置をコロンビア特別区連邦控訴裁判所が無効とした決定を見直すことはしないと判決した。これにより2017年8月に連邦控訴裁判所がEPAの指令を無効として決定が継続することになった。EPAはある用途においてR-404AやR-410Aのような高GWP冷媒の使用を禁止した指令をだしていた。
本件の経緯は、2018年の初めに冷媒メーカーであるハネウェルとケマーズが最高裁に、連邦控訴裁判所が下した“重要新規代替物質政策プログラム(SNAP)はオゾン層を破壊する物質を対象にしているものであるから、環境保護庁(EPA)はSNAPによってHFCを禁止することはできない”とした決定を見直すことを求めていたもの。
天然資源保護協議会(NRDC)のデイビッド・ドニガー代表は「最高裁の決定は、安全な代替品があるにもかかわらず、無責任な企業が地球を害することを認めるようなものだ。しかし幸いに州は正しい動きをしている。すでに4つの州がHFCの削減を約束している。カリフォルニア、ニューヨーク、メリーランド、およびコネティカット各州であり、これらの州のリーダーシップに続こうという州が出てくることを期待している」と述べている。
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News October 29, 2018〕
米ハネウェル R410Aの代替となるソルスティスL41yの販売が
可能になったと発表
米ハネウェルはR410Aの代替となるR452Bの販売が可能になったと発表した。ハネウェルからソルスティスL41yの製品名称で発売となった。この冷媒は、R32よりも5%エネルギー効率が高く、吐出温度と圧力がR32よりも低い。R410Aと同じ運転圧力であり、このため配管、ロー付、容器の設計変更をする必要がない。
ソルスティスL41yは圧縮機メーカーからチラーおよびヒートポンプでの使用の承認を得ている。ハネウェルのジュリアン・スレ副社長は「この製品は、これまで代替冷媒が無かったR455A、R1234ze、またR1233zdなどに対して、空調機メーカーがすぐ代替として使用することができる。最も重要なことは、空調機メーカーは暖房と冷房の双方において能力や効率で妥協することなくR410Aを代替して市場の需要を満たすことができることだ。F-ガスの段階的削減をサポートすることになる」と述べている。
〔RAC, October 2018〕
スマート・コネクッテッド・サーモスタット 2022年まで年率23%で増加の予測
米国のビジネス・リサーチ会社であるフリードニア・グループの調査によると、米国のスマート・コネクテッド・サーモスタットの需要は、年間23%の伸び率で増加し、2022年に1,450万個に達する。スマート・サーモスタットがコネクッテッド・タイプを吸収してシェアを拡大する。
需要拡大に当たってスマート・コネクテッド・サーモスタットの最も大きな推進力となっているのは、急速に低下している価格である。これにより消費者は複数台の購入も可能となっている。電力会社、住宅建築業者、一般空調設備業者もコストとエネルギー節約のためにスマート・コネクテッド・サーモスタットの販促活動をしており、これが成長を支えている。事例としては、電力会社では承認されたスマート・コネックテッド・サーモスタットを装着したユーザーにはリベートやほかの経済インセンティーブを与えている。
スマート・コネクテッド・サーモスタットの市場は2022年から2025年の間に買い替え需要に移行すると予測される。それまでにこの商品に興味のある住居者のほとんどはスマート・コネクッテド・サーモスタットを購入している。
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News September 10, 2018〕
米冷凍空調工業会のスティーブ・ユーレクCEO 冷凍空調産業の動向を語る
米国冷凍空調工業会(AHRI)のスティーブ・ユーレクCEOがACHR NEWSのインタビューに応じて米国の冷凍空調産業の動向を語った。
―冷凍空調工業会の会員企業の最大の関心事は何か。
「最大の懸念は貿易の動向がわからず予測できないことだ。状況はそこまで達しようとしている。連邦政府が環境やエネルギーの問題に今のところ取り組まないので、これも予測不能だ。どこへ向かっていくのかも分からない。今後2年経って政権が変わったら、再び厳しい規制が訪れるのかもしれない。4年間規制が無いより皆が合意したスケジュールで合理的で予測可能な規制があったほうがよい」
―冷凍空調産業界全体としての最大の問題は何か。
「最大の問題は変化であり、変化のペースだ。産業界としてこれまでにも変化はあったが、その変化は穏やかなものであり予想されたものであった。冷媒、技術、インターネットへの接続、顧客とのやりとりの仕方などが急速に変化する。これらをどのように管理して品質の高い製品を顧客に提供するのか。変化のレベルが大きいので不安を感じている」
写真3:米国冷凍空調工業会(AHRI)のスティーブ・ユーレクCEO
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News December 10, 2018〕
中国のVRF市場 2018年前半に成長が鈍化
中国のVRF市場は2018年の前半に成長から成熟へと変化した。特に住宅用のVRFシステムはボトルネックに直面している。なかでもインテリアコーディネート市場で劇的な伸びを示していたミニVRFの販売が停滞している。2017年前半は38.4%の伸び率であったが、2018年前半は急激に低下してわずか7%の伸びに留まった。
中国においてVRF市場が大きく落ち込んだ理由は、第1に2018年は不動産の規制方針がVRF市場にまで影響を及ぼしたこと、第2に中国のマクロ経済がVRFの販売にも影響を与えたこと、第3に2017年の大きな伸びによって需要の一部が先取りされてしまったことである。
2018年7月、建設プロジェクト市場が回復したことにより、VRF市場は前年同月より1.8%増加した。しかし、2018年のVRF市場は経済状況が変化するため厳しいものになる模様で、2017年と同じような成長を期待するのは難しい状況にある。
〔JARN, October 25, 2018〕
インドの冷房需要は今後20年間で8倍に拡大との予測
インドの冷房需要は今後20年間で8倍に増加と予測されている。ルームエアコンが2037-2038年に消費する電力量はインドの冷房消費電力量全体の半分以上となる。
世界オゾンデーに当たる2018年9月16日、インド政府は、政府及び住宅用・業務用ユーザーなど関係者に対して冷房行動計画案を発出し、その中で冷房に要するエネルギー消費を、2037-2038年までに、2017-2018年のレベルから30%削減する指針を示した。世界初となるインド・クーリング・アクション・プラン(ICAP)は、業務用ビルの室温は自発的に24-25℃とすること、また種々のパッシブ型のクーリング・システムを採用することなどを示している。
ICAPによるとビル分野の冷房需要が最も大きな伸びを示しており、今後20年間で冷房需要は11倍となる。次いで輸送用空調が5倍、コールドチェーンと冷凍分野が4倍となっている。
〔JARN, November 25, 2018〕