ガトーフェスタ ハラダの工場見学
【広報委員会取材企画 番外編 part 2】
No.661 2019年2月
今回は八ッ場ダム見学の番外編で、ガトーフェスタ ハラダ本社工場見学をお届けします。
ラスクと聞くとどのようなイメージを持ちますか?筆者の年齢がある程度想定ついてしまうかもしれませんが、私のラスクのイメージは、15年くらい前までは、駄菓子屋さんに売っている、小さな山型食パンを乾燥させて、アイシング(粉砂糖から作った砂糖の飾りコーティングの名称)が塗ってある素朴なものでした。
ところが、私の記憶では確か、2002~3年頃だったでしょうか、ディズニーランドのアトラクションにも負けないほど、数時間並ばないと手にすることができない、ラスクが現れました。グーテ・デ・ロワ ”王様のおやつ”、ガトーフェスタ ハラダ(以降ハラダと表記)のガトーラスクです。ラスクブームの火付け役だったと思います。
広報委員会の取材活動で八ツ場ダムの建設現場に行くことが急遽決まり、10月の某日、午後一番に群馬県の高崎駅集合になりました。高崎と言えば、「そうだ、ハラダの本社工場で工場見学ができるはず!」と、集合時間までの時間の有効活用を思いつき、工場見学に行って参りました。
ハラダの本社工場は、高崎駅から2駅ほど東京寄りのJR新町という駅から徒歩で15分の場所にあります。目の前には、陸上自衛隊の新町駐屯地があり、ミリタリーな雰囲気とは真逆な、ローマ神殿のような素敵な工場と本館シャトー・デュ・ボヌール(直営販売店)が建っています。
写真1:本社入り口前
10:00の工場見学開始時刻に合わせて行ってみると、観光バスが何台も停まっており、県内の小学校の社会科見学なのか、たくさんの小学生が来場していました。
写真2:社会見学のバス
20名以上の団体は事前に予約が必要ですが、個人客は、当日直接伺っても見学できます。1Fで受付をすると、出来立てホヤホヤのグーテ・デ・ロワ(一番スタンダードなバターとグラニュー糖がかかっているもの)を試食で1つ頂きました。
なんとこれ、ホヤホヤと書いた字のごとくほんのり温かく、パッケージを通して伝わってきました。温かいラスクは人生初です。
その日に焼き上げたものをプレゼントしているとのことで、運がいいと私のようにまだ温かいガトーラスクを味わうことが出来ます。早速頂くと、カリカリという食感はいつものガトーラスクですが、ワンランク上に感じました。
写真3:ウェルカムラスク
工場見学はエレベータで4Fまで上がってスタートです。見学コースには、美術館等でよくあるイヤホン付の音声ガイドの貸し出しがあり、希望者は無料で利用できます。
ハラダのガトーラスクは、まず、フランスパンを作るところから始まります。60kgの小麦粉に水やバター等を混ぜて約100kgの生地を1時間こねます。この100kgの生地から、250本のフランスパンが出来ます。
発酵に1時間かけ、ふっくらしたところで30mの長いトンネル状のドライオーブンに入れて焼きます。そのドライオーブンは、1分に1m進みますので、30分でフランスパンが焼けます。
パンに割れ目ができないよう、ドライオーブンの入口では生地に水分を噴霧します。そしてパン屋さんがフランスパンを焼く時には通常ありませんが、こちらでは、焼きあがったフランスパンの形が均一的になるようにとフタを付けて焼きます。
この本社工場では、1時間に2600本のフランスパンを焼き、1本のフランスパンから約50枚のラスクができるそうです。
これらの説明を聞きながら、ガラス窓越しにパンを製造している工程が見えます。ここで、またまた別の試食のラスクを頂きました。今度は、さきほどもご紹介した一番シンプルな「グーテ・デ・ロワ」の表面をその場でバーナを使い炙ってほんのり焦げ目がついたものです。
その名も「グーテ・デ・ロワ・ブリュレ」。もちろん商品化されておらず、ここでしか味わえない特別なものでした。食感がガトーラスクとは別物で、バターがしみ込んだ上にお砂糖の溶け固まった甘さがマッチして、お菓子というよりデザートでした。
写真4:「グーテ・デ・ロワ」の表面をバーナーで炙る
続いて、フロアは3Fに移り、ガトーラスクの加工工程と、商品チェックの様子が見ることが出来ます。
仕上がったガトーラスクは、日本で初めて導入されたドイツ製のTLMロボットで主に、大きさや形、パンの穴あきなどをコンピュータが判断し、合格品だけを個別包装します。
3Fフロアは、製造現場を左手に見ながら長い一直線の廊下が見学ルートなのですが、そこには、まるで宝石の展示のように並べられた1つ1つのショーケースに、決して1ヶ所の販売店では一緒に買うことのできない全国各地地域限定のガトーラスクや焼き菓子がディスプレイされ、その美しさはパリの高級宝飾店さながらで、必見です。
写真5:全国各地限定商品等の展示
音声ガイドによると、1つ1つの原材料にもこだわりがあり、バターは1日に20kgの塊を100ブロック(ということは2トン)も使用するそうです。
これは、バターを1度溶かして上澄みの美味しいところだけを使っているため、一般的な量より多くバターを使うことになるそうです。
となると、上澄みを取った残りのバターはどうなるのだろうかと疑問に思いましたが、すかさずご説明いただいたことによると、その沈殿物のバターや、フランスパンの切り落とした端っこは、家畜の飼料となり、グラニュー糖のふるい落ちたものはペットフードに使われ、なんとリサイクル率は98%だそうです。
そして、工場の屋上には1904枚のソーラーパネルを設置し自社工場内でのピーク時の電気を10~15%まかなうことで、年間CO2の削減量は126トンにもなるそうです。
工場とは思えない美しさ、そして美味しい、環境にもとても配慮している、三拍子揃った素晴らしい工場でした。
工場のお隣には、直営販売店「本館シャトー・デュ・ボヌール」があります。こちらの商品はパッケージの色合いがどれも美しいので、ショップに一歩入っただけでわくわく感がMAXになります。
写真撮影はNGで実物をお見せできないのが残念なのですが、こちらの本館シャトー・デュ・ボヌール限定販売の「ボヌールセレクション」は、神殿のような本社工場を再現したボックスに、様々なガトーラスクや洋菓子が、あちこちに仕込まれた引き出しに入っており、まるでクリスマスのアドベントボックスのようでした。
すごく欲しかったのですが、この後の八ツ場ダムの取材なども考えると、とても持ち歩くような大きさではなかったので、購入は断念しました。
私が購入したのは、限定のもの2点です。1つは、フランスパン。ガトーラスクの材料としてフランスパンを焼いているのは本日の見学でよくわかったのですが、パンの状態でも売っているのを見つけ、是非食べてみたいと思い即買いでした。
写真6:ラスクの原料となるフランスパン
フランスパンを購入できるのは群馬県内にある3店舗の直営店のみで購入することができるそうです。(日曜日のみ販売はされていません)
袋に入ったままの状態を撮影しておけばよかったのですが、この後の取材や帰りの道中で袋にダメージがあったのでハラダ様よりご提供いただいたお写真を掲載します。
検品ロボットでパンの穴あきのチェックがあるというのは工場見学のところで触れましたが、切っても切っても、きめ細かい断面でいつも私が食べている街のパン屋のフランスパンのような大きな空洞は一切ありませんでした。
そして、もう1つが群馬県内の6店舗限定の「グーテ・デ・レーヌ」わがままな女王様のためにガトーラスクとレーズンサンドを掛け合わせて生まれた“女王様のおやつ”とのことです。
こちらも、お土産に買ったものの、自分の分は無かったのですが、配った人からひとかけら貰って食べてみたところ、薄くスライスされた2枚のガトーラスクの間にホワイトチョコレートベースのクリームに包まれたレーズンがどっさり入っていて、革命的な組合せに、ただただ感動するばかりでした。
写真7: 群馬県内6店舗のみで販売「グーテ・デ・レーヌ」
ちなみにハラダは、現在はガトーラスク等の洋菓子の印象が強いのですが、創業は1901年に和菓子から始まり、1942年よりパンの製造を開始、学校給食のパンも手掛け、戦後洋菓子などの製造も行ってきた100年超えの企業で、ラスクは1956年から製造しているそうですが、2000年に洋菓子部門をガトーフェスタ ハラダとして展開し、現在のグーテ・デ・ロワの製造を開始、ラスクブームを起こしました。
個人的な好みで今回はガトーフェスタ ハラダさんの工場見学に1人で来てみましたが、次は家族と一緒に是非訪れたいと思います。ご興味のある方は、家族レジャーの1つとしていかがでしょうか?
ガトーフェスタ ハラダ本社工場
所在地:群馬県高崎市新町1207
【工場見学ギャラリー】
開館日:月曜~土曜(祝日含む)
開館 10:00
閉館 17:00(入場は16:40まで)
休館日:日曜、1月1日
入館料:無料
※工場見学・ショップとも、原則写真撮影は禁止となっております。使用している写真は株式会社原田・ガトーフェスタ ハラダ様の承諾をいただいて使用しています。
(荏原冷熱システム 丸山)
以上
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