海外短信
No.659 2018年9月
トップインタビュー ダイキン空調イタリア 亀川隆行社長“R32により欧州で販売を拡大”
2018年3月イタリアで開催された空調暖房機器展示会(MCE)においてダイキン空調イタリアの亀川隆行社長がR32冷媒による欧州での販売戦略を語った。JARNのインタビューに応じたもの。
―ダイキンはR32をもとに欧州で販売を拡大している。
「今年のMCEではR32を使用したRACについて、高級機から普及機まですべてを展示した。R32を使用したPACについても、昨年の秋に市場投入をしたので、同様に力を入れている」
―ミニVRFが最近伸びており、RACやPACの需要の一部を食っている。
「イタリアではミニVRFとPACは同じような伸びを示している。しかしミラノやローマのような歴史のある大きな都市では古くからある多くの建築で室外機を設置するスペースがない。このような場合、ユーザーは設置費用が高くなっても配管を長くする必要があり、また室内機はコンパクトなものがよい。ミニVRFのフレキシブルな設置工事はPACに対して優位にある」
―ATWヒートポンプにもR32を使用するのか。
「暖房機として今年のMCEでR32を使用したATWを初めて出品した。今年中に販売を開始する予定だ」
ダイキン空調イタリア 亀川隆行社長
〔JARN, June 25, 2018〕
海信日立 ホーチミンでVRFのセミナーを開催
海信日立は2018年3月30日、ホーチミン市のプルマンサイゴンセンターでVRFのセミナーを開催した。同市の空調分野の役員や所有者60名以上が参加した。
ホーチミン市はベトナムで最も経済的に発展した都市であり、海信日立はここをVRFの販売ターゲットとしている。この市場を攻略する第一の目標は所有者、流通業者、および建設会社であり、これらの関係者に海信日立のVRFの品質をデモンストレーションする。これによりブランドの認知度を高め、海信日立ブランドをもっとポピュラーなものにする。
海信日立のVRFセミナーでの集合写真
〔JARN, July 25, 2018〕
三菱重工-ハイアール(MHAQ)が中国 旭輝銀盛泰グループと業務提携
三菱重工-ハイアール(青島)空調(MHAQ)は、山東省旭輝銀盛泰グループとの戦略的な業務提携に署名した。
旭輝銀盛泰グループは、旭輝集団と銀盛泰集団のそれぞれの強みを生かして、多くの優良な不動産プロジェクトを開発してきている。MHAQは高性能な業務用空調機器を誇っている。MHAQは不動産プロジェクトにおいて顧客の注文に合わせた建物全体の空調システムを提供する。MHAQと旭輝銀盛泰グループとの強い協業により、中国の不動産プロジェクトの建物に高性能な空調を普及させることになる。
MHAQは旭輝銀盛泰グループとの戦略的な業務提携に署名
〔JARN, July 25, 2018〕
パナソニック パキスタンでの躍進を目指す
パナソニック・マーケティング中東・アフリカ(PMMAF)は、パキスタンのラホールでディーラーの年次大会を開催した。製品分野を越えてすべての新商品を発表。年次大会にはパキスタンにおけるパナソニックの主要な流通業者が参加した。
パナソニックマーケティングミドルイースト・アフリカ社の社長である副島大規氏が基調講演をおこない「パキスタンの経済成長は早く、中流層に活気があり、購買力を急速に伸ばしている。消費者の高級品に対する欲求はこれまでになく大きい。これはパナソニックにとって大きな事業機会となっている」と述べた。
パキスタンのラホールで開催されたパナソニックのディーラー年次大会
〔JARN, June 25, 2018〕
英国グリーンビルディング評議会 政府に2030年までに新築建物での“ネットゼロカーボン”を求める
英国建築業界が政府に対して“遅滞なく”エネルギー性能基準の強化を実施することを要求している。2030年までにすべての新築ビルにおいて‘ネットゼロカーボン’を達成しようとしている。
英国グリーンビルディング協議会(UKGBC)は49の建設産業団体と共に公開書簡を政府に送り、速やかなエネルギー性能目標の見直しを求めている。
‘ネットゼロカーボン’を達成するために新たな建築は可能な限りエネルギー消費を抑制し、その他すべてのエネルギー需要は再生可能エネルギーによってまかなう。
UKGBCは2020年代の10年間に新たなシステムやアプローチに対して必要となる投資や改革を確かなものとするために、政府に対して“方針の確実性”を求めている。
署名団体は、ここ数年重要な規制改革が行われていないため、ビルの新たなエネルギー効率の標準を導入することを支持している。
「EUを離脱後に英国経済を前進させるには、我々が十分に力を発揮できるように方針の確実性を政府に求める」と書簡は述べている。
〔RAC May 2018〕
英国議会委員会 “可燃性冷媒の施工には適切な訓練が必要”
冷媒管理の認証機関レフコムはこれを歓迎
英国の冷媒管理の認証機関であるレフコムは、議会の環境監査委員会(EAC)が先日だした調査報告を歓迎している。EACは英国での温室効果ガスの排出削減を監査する重要な役割をしている。
資格を有しない据付業者が微燃性冷媒を施工した場合、安全性が担保できるのかをEACは懸念している。レフコムの代表であるグレアム・フォックス氏はこれに着目し、「可燃性冷媒用に設計されていないシステムに対して、施工業者が可燃性冷媒を補充してしまうことを我々は懸念している。委員会はこの問題を取り上げてくれた」と述べている。低GWP冷媒の使用は安全性や高効率とトレードオフの関係にあることを委員会は認めている。
「政府は緊急に産業界と協議して、施工業者が適切に訓練され、可燃性冷媒や微燃性冷媒の取り扱いに熟達していることを保証しなければならないという点で、我々とEACは合意に達している」と同氏は語っている。
〔RAC June 2018〕
英国建築設備研究情報協会(BSRIA)「世界空調機市場の調査」発行
米国は平均以上の伸び、中国持ち直しで世界市場は2017年に回復
最近発表された英国建築設備情報協会(BSRIA)の市場情報調査によると世界の空調市場は回復してきている。米国のような大市場は世界平均を上回って成長しており、中国市場も上向き始めている。しかし、欧州市場はまだ回復途上にあり2018年は政治や規制の問題により困難も予想される。
BSRIAは年末での世界の販売台数は1億3700万台、金額ベースでは1,020億ドル(約11兆3000億円)、と予想している。
市場での競争は激しさを増しており、海外で販売をしてきた中国ブランドは、自社ブランドの開発に強い意欲をもっている。最近の中国における販売の下降傾向により、中国のサプライヤーは海外での事業機会を探している。
世界の売上高では、アジア太平洋地域が引き続き最大の構成比58%となっており、欧州は比較的小さく11%となっている。
BSRIA Global Air Conditioning Study May 2018
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News June 18, 2018〕
ハネウェル 定置空調用不燃性低GWP冷媒を公表
2018年6月26日、ハネウェルが定置空調用として不燃性、低GWP冷媒ソルスティスN41(暫定呼称R466A)を公表した。市場に出荷されれば、R410Aを代替することができる世界で最もGWPが小さい不燃性の冷媒となる。ASHRAEから暫定的にR466Aの呼称とA1の認定を得ており、市場に出荷するために必要となる要件をクリアした。
R466Aの特長は、GWPがR410Aよりも65%小さいこと、エネルギー効率が高いこと、環境に好ましいことである。またR466Aに変更するために要する機器のコストは、可燃性冷媒に変更する場合に比べて、はるかに小さい。
更に初期の調査によると、R466Aへの切り替えでは機器の変更はわずかでよく、据付業者や修理業者に対する特別な訓練も不要である。試験データではメーカーはR410Aから簡単に切り替えることができる。
R466Aの出荷は来年からであり、ハネウェルは現時点では冷媒の組成について明らかにしていない。
Honeywell Press Releases June 26, 2018
〔JARN July 25, 2018〕
米国冷凍空調工業会(AHRI) 会長クリス・ピール氏
低GWP冷媒、ダクトレス空調など米国空調市場の動向を語る
米国冷凍空調工業会(AHRI)の会長に選出されたリーム社の社長クリス・ピール氏がJARNのインタビューに応じて米国空調市場の動向を語った。
―米国EPAは充てん量7.8kg以下のエアコンでのR32の使用を許可した。メーカーはさらに分離型での使用許可を求めている。AHRIはどのような対応をとるのか。
「AHRIは、A2L冷媒を認証し、安全な使用に対する要求事項を特定するために、適切な標準機関と共同作業をおこなっている。責任ある大気方針同盟とは、R32のような低GWP冷媒を使用するのに適切な用途を認証するための枠組みを開発している」
―米国空調市場はアジアや欧州と同じように将来ダクトレスが主流になるのか。
「米国でもダクトレスは伸びている。消費者は快適性とエネルギーを節約するシステムに関心を持っている。ダクトレスはダクト作業ができないような場所での追加設置にも対応できる。しかし、そうは言ったものの、米国の住宅空調の主流は圧倒的にダクトシステムだ。居住空間をできるだけ広く取ろうとする。ダクトレスも伸びてはいるが、米国では当面一般に普及する技術にはならないと思う」
米国冷凍空調工業会クリス・ピール会長
〔JARN June 25, 2018〕
中国市場 2018年は減速し調整局面となる模様
中国の2018年第一四半期のエアコンの販売は、金額ベースでは339億元(約5520億円)で前年より14.9%増、台数ベースでは915万台で前年より9.5%増となった。増加率は前年よりも減少している。オール・ビュー・コンサルティング(AVC)によると2018年通年のエアコンの販売は5313万台で前年よりも5.4%の減少、金額ベースでは1860億元(約3兆300億円)で前年よりも3.7%の減少となる見込み。
昨年末から今年の初めにかけて、エアコン販売の対前年増加率は減少している。不動産規制、生産能力の増加、および競争の激化を考慮すると、中国のエアコン産業は今年調整局面となっている模様。地域別に市場を見ると、大都市で不動産の購入抑制の影響が出始めている。北京、上海、広州では第一四半期は前年割れとなった。反対に主要な増加地域は中堅および中小の地域となっている。
〔JARN June 25, 2018〕
中国とベトナム間で低温コンテナの列車輸送が始まる
2018年5月7日、9個の冷凍コンテナがドラゴンフルーツを積載して中越国境鉄道のノースステーションを出発した。ドラゴンフルーツは5日以内に中国の長沙市、鄭州市、北京市、その他の地域で販売される。雲南省によって運行される東南アジアと中国のコールドチェーンを結び付ける最初の列車輸送となる。
ドラゴンフルーツを積載した冷凍コンテナ
〔JARN June 25, 2018〕
ブラジル冷凍空調換気工業会(ABRAVA)の業務産業用冷凍部会
新たな目標を定めて活動
ブラジル冷凍空調換気工業会(ABRAVA)の業務産業用冷凍部会は工業会の本部に参集し、部会としての新たな目標を設定した。部会の目的は業務産業用冷凍に関する市場調査、税制、冷媒転換、標準化、および資格認定など共通課題の作業を行うことにある。
業務産業用冷凍部会の部会長であるアデマー氏は「ABRAVAと業務産業用冷凍部会は産業用冷凍の各社にガイドラインや共通課題の解決のための格好の場と環境を提供する」と述べている。部会にはジョンソン・コントロールズ(JCI)、前川ブラジル、ダンフォス・ブラジル、インベラ・エバプコ、エマーソン・クライメート・テクノロジーが参加した。
〔JARN, June 25, 2018〕
以上
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